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≪Blog≫日本の特定技能制度の実情と課題

こんにちは。株式会社Futaba事務局です。

 

先日、在留資格「特定技能1号」で日本に在留している

外国人数の速報値(令和4年3月末時点)が、出入国在留管理庁より

発表されました。

 

人材育成を目的とした「技能実習」とは違い、「特定技能」は

日本企業(とりわけ中小企業)の人手不足を補うことを目的として、

2019年4月に新設された在留資格です。

 

政府は2023年までの5年間におよそ34万5千人の特定技能外国人を

受け入れる見込みを立てています。

 

しかし、最大の送出国と目されていたベトナムとの調整の難航や、

在留資格取得のために受験が必要な「特定技能試験」などの実施体制が

行き届いていないこと等が影響し、

初年度の「特定技能」交付者数は、政府想定の3%にも満たない人数でした。

 

さらに2020年から2021年末まではコロナウイルス感染症の流行が影響し

海外からの志望者が伸びず、

丸3年が経過した令和4年(2022年)3月末時点でも想定のわずか約19%に止まっています。

その内の約8割が、「技能実習」2号あるいは3号からの移行者です。

 

特定技能外国人が受け入れ可能な産業分野は、これまで全部で14でした。

(先日、製造3分野について統合が決定したため、今後は11となります。

統合の詳細は後述いたします。)

 

分野ごとに2023年までの受け入れ上限数が定められています。

 

全体では充足率%(≒実際の受入れ人数 / 5年間の受入れ上限数×100)は

およそ19%となっていますが、産業別に見ると充足率が今年3月末時点で

100%を超えている分野もあれば

0%に近い分野もあり、人数に大きな差異が見られます。

 

充足率の上位3分野を具体的に挙げると、

・産業機械製造業 ・・・ 114.7%

・電子・電気情報関連産業 ・・・ 69.3%

・飲食料品製造業 ・・・ 67.6%

となっている一方、ワースト3分野は

・宿泊業 ・・・ 0.6%

・航空  ・・・ 2.2%

・ビルクリーニング ・・・ 2.3%

以上のとおりです。

(充足率は、出入国在留管理庁の資料をもとに弊社が算出しました。)

 

上位、ワーストともにそれぞれ3分野のみ列挙しましたが、

実は充足率5割を超えているのは14分野のうち上位のわずか3分野のみとなっています。

 

外国人就労者の活躍が期待される分野として頻繁に挙げられる介護や農業

などの分野においても、特定技能制度が想定どおりに機能していないという

現状が、数値から垣間見えます。

 

※一部分野の統合について

・・・特定技能1号の受け入れ対象となっている製造3分野

①産業機械製造業 ②電子・電気情報関連産業 ③素形材産業の間で

充足率に大きな差が出ているため、3分野としての受け入れ上限数の

見直しを求める声が、以前よりあがっていました。

また、①②③のうち複数の分野を兼ねている製造関連企業も多いことから、

製造3分野 ⇒ 1分野への統合が、4月26日に閣議決定されました。

具体的な受け入れ上限数は、今後精査されるとのことです。

 

 

「特定技能」は1号と2号に分かれており、まず取得者は1号に認定され、

条件を満たせば2号へ移行できます。1号と2号の最大の違いは、

「受け入れ産業分野数」「在留期間の上限」「家族帯同可否」の3点です。

 

1号は14分野(今後は11分野)が対象。在留期間が上限5年で、家族帯同は認められていません。

 

一方、2号は在留年数の上限が設定されておらず、条件を満たせば母国の家族を

日本へ呼び寄せることが可能となります。

ところが、現時点で対象となっている産業分野は「建設」「造船・舶用工業」の

わずか2分野です。

 

2号は2022年4月に岐阜県の建設関連会社で働く中国人男性が認定を受けたのが

全国で1例目であり、対象分野の拡充もようやく政府で検討され始めた段階。

 

そのため、出来る限り外国で長く働き、より多くの賃金とスキルを得たいと

志望する外国人材にとって、

日本の特定技能制度は自己実現の可能性が低いとみなされ、定住化を見通しやすい

韓国や台湾のほうが、就労先として人気を集めているという現状となっているのです。

 

出入国規制が緩和され、外国人材の行き来も活発になりつつあります。

しかし、一時的に人手不足を補うという面にばかり捉われず、

今後は特定技能外国人のキャリア形成という面にも着目していかなければ、

制度の運用は多難なものとなるでしょう。

引き続き政府の動向に注目する必要があります。

 

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